歌舞伎町でホストクラブ、バー、飲食店、美容院など十数軒を構え、ホストのボランティア団体【夜鳥の界】を仲間と立ち上げ、深夜の街頭清掃活動を行う一方、NPO法人グリーンバードでも理事を務める『スマッパ!グループ』の手塚マキ会長にインタビューをさせていただきました✍️【新夜創造】すべての女性の鼓動を煌めかせる、新しい夜を。をモットーに、全ての女性が安心して遊ぶことができ、ここでしか出会えない上質な大人の時間を提供する『スマッパ!グループ』さんは今年で創業22年を迎えるそうです。『group BJ』『ONE'S CREATION』一条ヒカル会長からのレジェンドバトンを繋ぐ「LEGEND HOST編」シリーズ第12弾!どうぞご覧ください🔥
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初めに、ホスホスをご覧の方へ向けて、ご自身の自己紹介をお願いいたします!
手塚マキ
『スマッパ!グループ』会長の手塚マキです。今年でグループを立ち上げてから創業22年です。よろしくお願いいたします。
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マキ会長が思う、現代におけるホストクラブの需要とは何ですか?
手塚マキ
そもそもホストクラブの存在意義とは、女性が主体的に夜遊びできる場所の提供であるということです。日本には女性が自由に楽しめる夜の娯楽の場が少なく、ホストクラブは女性が娯楽として楽しめる数少ない場所の一つです。ホストクラブは男女格差という現代社会の歪みを埋める役割を持っていると言えるのではないでしょうか。男性向けの夜遊びの場と比較すると、女性が安心して楽しめる場所の数は圧倒的に少ないですよね。この不均衡を是正する意味合いはありますよね。
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マキ会長は最近のホスト業界の情勢についてどう思われていますか?
手塚マキ
コロナ以降、ホスト業界には大きなバブルが生まれました。しかし、空売りや見せかけの売上で給料が高いように見せてホストを煽る手法は、典型的なマルチ商法の手法に似ていますよね。ホストクラブのお客様がホストになってしまったというか…この手法は、昨今の「大きければ良い・高ければすごい・フォロワー数が多ければすごい」といった逆転現象ともリンクしていると思います。つまり、「すごいから、フォロワー数が多い。」のではなく、「フォロワー数が多いから、すごい。」と、いう価値基準。この考え方は、YouTuberの炎上商法が一番わかりやすい例ですよね。ホスト業界でも、「質が高いか低いか」よりも「有名である」ということが重要視されるように思います。これはホスト業界だけの話ではないですが、この風潮がホスト業界とは非常にフィットしたのではないでしょうか。
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奥が深いですね…!ちなみにマキ会長は、昨年から問題となっている売掛問題ついてはどう考えられていますか?
手塚マキ
そうですね。一概に「女性は弱い」と定義してしまうのもどうなのかなと思います。ホストクラブ界隈で起きている問題は、認知症の高齢者からお金をむしり取るのと同様に、1円も持っていないお客様に何千万円も使わせたりするのは、常軌を逸したことであって議論する必要もないように思います。さらに薬物をお客様としたり、脱税などの犯罪行為は、法律的に取り締まれば良いだけです。売掛問題として議論する前に、現行法でモラルを向上させることが出来るのではないかと思います。その上で、売掛という制度について考えれば良いように思います。
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メディアの取り上げ方も偏りすぎている部分は感じますね。
手塚マキ
本当にそうですね。売掛のシステムの問題ではないんですよね。
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ひとまとめで売掛問題、全てホスト業界が悪いっていう印象操作のような報道の仕方には確かに疑問がありますね…。ちなみに『スマッパ!グループ』のホストさんは近年、猫町倶楽部さんの【読者会】に参加されていると思うのですが、目的を教えてください!
手塚マキ
従業員目線で言えば、ホスト達が本を読む機会を作ることは非常に重要です。本を読む理由としては、他者に対する想像力を身につけるためです。自分の得意な分野だけを輝かせて、その分野に興味を持つ人たちを集めるというビジネスの在り方も一つの方法ですが、水商売の魅力は、さまざまな人とコミュニケーションを取ること、人と人との繋がり、にあると思います。そのためには、自分が今興味のないことでも知識として持っていることが、他者とのコミュニケーションの助けになります。そうすることで色んな人と出会うことが出来ます。足が不自由な人の気持ちや耳が聞こえない人の気持ち、自分達とは違う環境で日々暮らしている人たちの考え方や思想などに対する想像力を持つことがいろんな人への気遣いになります。それを【教養】というのではないでしょうか。そうした【教養】を持つ人には自然と色んな人が集まってきます。『スマッパ!グループ』のホスト達にはこうした能力を身につけて欲しいと願っています。また、猫町倶楽部さんと【読書会】を始めたのは、昨年の年末に売掛問題でホスト業界が叩かれている時でした。「我々は真面目です。健全にやっています。」と言うのではなく、様々なホストが存在し、今やっていることを肯定するよりもどういう人間になろうとしているのか?努力をしている姿を社会に示すこと。つまり、どのようなホストを育成しようとしているのかを外部の人たちに知ってもらうことが大切だと思いました。単に「ちゃんとやります。」と言うのではなく具体性ですよね。それは、同時期に始めた【スマッパ!ナイト】も同様です。読書という共通項で歌舞伎町にあまりいない方々と関わるのと同様に、音楽、クラブカルチャーという分野の方々と触れ合って欲しいなと。
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『スマッパ!グループ』さんは「文化系ホストクラブ」というスローガンを掲げていらっしゃると思うのですが、そちらもそういった理由に繋がっているのでしょうか?
手塚マキ
グループの方針としては【教養】を身につける。【教養の強要】というミッションステートメントがあるからですね。
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ホストの方に教養を身につけさせると言うよりも、お客様の来店促進に繋がるような教育をした方が良いのでは?と思われる方も多いと思うのですが、ホストさんに【教養】が必要な理由について、マキ会長はどう捉えられていらっしゃいますか?
手塚マキ
一般的には、ホストに【教養】を身につけさせるよりも、即効性のあるお客様の来店促進に繋がるような教育を優先すべきだと考える方も多いでしょう。というか、それはそれでビジネスとしてとても大事です。しかし、人生は長いです。人生を豊かにする教養を身に着けて欲しいとは思います。ただホストが今【教養】を身に着けることが売り上げ促進になる理由もあります。先程も言いましたが【教養】とは、単なる知識の集積ではなく、他者に対する想像力や共感力を育むものです。さまざまな背景を持つお客様と接するホストにとって、この共感力は非常に重要です。例えば、異なる文化や環境で育った人々の気持ちや考え方を理解し共感することで、より深いコミュニケーションが可能になるのではないでしょうか。また、【教養】を持つホストは、お客様に対して豊かな会話を提供できます。お客様はホストクラブに来る際、単に飲食を楽しむだけでなく、心地よい会話や交流を求めています。【教養】を持つことで多様な話題に対応できるため、お客様との会話が弾み、満足度が高まります。さらに、【教養】を持つホストは、信頼される存在になります。知識や教養を持つことで、お客様からの信頼や尊敬を得やすくなります。これは、長期的な顧客関係の構築にも繋がります。どうでしょうか?ホストが【教養】を身につけることは、結果的にお客様の来店促進にも繋がると言えるのではないでしょうか。【教養】のあるホストは多くのお客様に愛され支持される存在となり、その評判が広がることにより新規のお客様の来店促進にも繋がるのではないでしょうか。
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ご自身が常任理事を務める「歌舞伎町商店街振興組合」さんが開催されている街中パフォーマンス&ダンスイベント【歌舞伎超祭】こちらはどういった思いで始めたイベントなのでしょうか?
手塚マキ
元々歌舞伎町は、戦後の焼け野原の時に「文化で街を再生させよう」という思いから、広場の周辺に映画館やコマ劇場が建てられるという流れがありました。街の人たちは歌舞伎座を持ってこようとしましたが、建築基準法が変わったタイミングで歌舞伎座は実現せず、名前だけが残りました。こういった文化で繁華街を作ろうという考え方は、私がホストに【教養】を身につけさせる話と同じだと思っています。資本主義社会でお金を稼いで経済を回すことだけが豊かな暮らしを実現するわけではなく、心の豊かさも重要だと思います。それを支えるのが文化であり、その文化に付随するのが水商売だと思います。ですので、当たり前のことをやっているだけで、特別なことをしているわけではありません。【歌舞伎超祭】というイベントを、クオリティの高い文化を感じられる場所にしたいと考えており、そういった場を提供することで、歌舞伎町に集まる様々な方達が「心の豊かさを得られるきっかけ」になれば嬉しいと思い、イベントを始めました。
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【歌舞伎超祭】に出演されている、アオイヤマダさんや高村月さんなどのダンサーさんは一般的なダンスとはまたひと味違った分野のダンサーさんという印象なのですが、それも何か意図があったんでしょうか?
手塚マキ
それはアオイちゃん周辺の同業の方達も同じで、単に面白いとかカッコいいだけでなく、自分達のジェンダーを含め”Queer”(既存の性のカテゴリに当てはまらない人々の総称)的な要素を表現しているという点が、非常に歌舞伎町らしいと言えますね。例えば、有名な音楽アーティストさんを呼んで歌っていただくというようなことではなく、もう少し社会的にも哲学的にも意味のあることをやりたいという思いがあるかもしれないですね。
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アンダーグラウンドな部類のダンサーさん達をイベントに起用されているところが、歌舞伎町という街にとてもマッチしているなという印象でした。
手塚マキ
めちゃめちゃマッチしていますよね。アオイちゃん達を見ていると、物事を白黒はっきりさせる必要はないんだなと感じますね。
歌舞伎超祭フィナーレ。
— 手塚マキ Smappa!Group (@smappatekka) November 20, 2021
圧巻だった。感動した。
リアルな歌舞伎町より歌舞伎町らしく。
このイベントが違和感なく溶け込む歌舞伎町の濃さも再確認。
文化の色付けを少しずつしていくことが、寛容性に深さをもたらしてくれると思うので、色々やる!!
歌舞伎町ラブ!!! pic.twitter.com/BQqCdt4rQY
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前回のインタビュー企画にご出演いただいた『group BJ』『ONE'S CREATION』の一条ヒカル会長とマキ会長は根本的な部分はすごく似ていらっしゃるのかなと、お話しを聞いて感じました。
手塚マキ
『group BJ』さんはグループとしての信念を貫き通したからこそ成果が出たのではないかと思います。彼らはうちよりもとても礼儀正しいです。昔はうちも礼儀とマナーを大事にして、真面目さを強みにしていましたが、カルチャーや文化をとり入れ、堅苦しい真面目さを崩す方向に寄せていきました。『group BJ』さんは完全に【社会性】を重視しています。彼らはその社会性に貫徹しているので、スタッフも挨拶が丁寧で礼儀正しく、話し方もきちんとしている。遅刻などを絶対に許さず【社会性】を超重視しています。一方、うちは【教養の中の一環の社会性】にしたという点が『スマッパ!グループ』らしさの緩さにもなってしまったのかなと感じていますね。
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個人的に、いつか【教養】があるホストさんを集めたホストクラブを出店していただけたら、業界に新しい風が吹くのではないかと感じました。
手塚マキ
そうですよね。難しいのは、大人の女性が飲みに行く文化が日本にまだそれほど根付いていないことです。お金に余裕があっても、夜に出かけてホストクラブに飲みに行くことがあまり堂々と言える社会じゃないんですよね。銀座に飲みに行くことが日常になっている男性はたくさんいますが、女性が「ホストクラブ寄って帰ろう」みたいなことを友達同士で気楽に言えるような状況はまだ少ないです。そこを変えていく必要がありますね。社会全体の変化も必要だと思います。
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私の印象は、無いものを作るのがマキ会長なのかなと!
手塚マキ
それで飯を食えるようなホストの子達を増やすためには、業界全体で給料体系を見直すしかないかもしれません。それかホストクラブという枠から外すか。例えば、完全に給料を下げるのではなく固定給を上げて、飲み代のバック率を調整する。「みんな働けば40万円貰える」「頑張ってるやつは100万円貰える」くらいに留めて過度な売り上げ競争をせず、高級な飲み屋としての価値になれば、可能性はあるかもしれません。
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『アデオス』さんとかちょっと早すぎたのかなって…。
手塚マキ
もったいないですよね。
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今ちょうど波的に、”おじホス”(30代以上のホストさん達)も1つの流行りのカテゴリーに入るのかなとは思いますね。
手塚マキ
またやりたいですよね。今『シンスユークラシック』さんとかって流行ってるんでしょ?
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同世代のお客様も多いですが、若い子たちも話したくて来るというのが強みのようです。これこそ、ホストが教養やコミュニケーション能力を持つことの重要性を示していると思います。幅広い年代のお客様に対応できるホストクラブは、より多様なニーズに応えられるので、自然と人気が出るのではないでしょうか。
手塚マキ
業界全体の年齢も上がってますよね。今は30代のホストがいても特に不思議なことはありません。20代よりも、30代の方が良いというのは、今仰っていたように同世代の男の子では得られない気遣いや知識があるからだと思います。これは良い流れだと思いますね。
今回の私の短歌は、標語のようなダサいことをしないようにグループホストに向けて。怒りに任せてタクシーで書いた。票は全然入らず。
— 手塚マキ Smappa!Group (@smappatekka) June 23, 2021
「結果よりもプロセス重視」というミッションステートメントを思い出して欲しい。 pic.twitter.com/c4VqUdoPWJ
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安心感・安定感ですかね。もし1日ホストクラブで接客体験するとしたら、教養があり何かを教えてくれるような年上の方に接客されてみたいなというのはありますね。
手塚マキ
でも難しいですよね。結局、カッコいいとか可愛いが流行るのは仕方ないことです。それに勝つために【教養】で勝負できるようになれば良いのですが。【教養】があることが魅力として認識されるような流れを作れれば、業界全体の質が向上し、より多様なニーズに応えられるようになると思います。
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今後新たに流行りそうな気がするのは【教養】のあるホストクラブな気がします!
手塚マキ
うちの【読書会】なんかもそうですよね。ホストと一緒に本の話ができるというのが狙いで、みんな興味を持って来てくれています。これは【教養】を持つホストも魅力的だと思っているお客様層もあるということだと思います。【教養】を身につけることで、見た目だけではなく、知識や話題の豊富さでもお客様を引きつけることができるホストが増えるといいですね。
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たしか【読書会】には参加条件が課題本の読了に加えて、任意でドレスコードが決まっていると伺いました。
手塚マキ
そうですね。毎回みんな「ホストに興味があるけど、実際にお店に行くのには勇気がいる…。」という方達が【読書会】に参加してくださいますね。
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「ホスト」というワードで検索すると、『スマッパ!グループ』さんが上位検索結果に表示されますよね。
手塚マキ
多分外部リンクがめちゃめちゃ多いんですよ。今まで色んな媒体で取り上げられてきたニュースがありますからね。なので「ホストクラブに来店されるのが初めてです。」というお客様が、毎日ご来店されますね。
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ちなみにホストさんが現役を引退された後のキャリアについてはどう考えられていますか?
手塚マキ
ホストを辞めた後でも、自信を持って仕事ができるようにすることが重要です。元ホストなんで…というネガティブな気持ちではなく。堂々と自信をもってホストをする為には、社会全体のことがわかっていることが大事です。ホストしか出来ないのではなく、数ある仕事の中から選んでホストをしているんだ。という誇りを持てるようになることが大事だと思います。一条ヒカル君とかはその自信を持っているのが素晴らしいと思います。ホストという仕事が恥ずかしくないという自信を持ってやることが重要で、そうしないとどんどん閉鎖的になってしまいます。そうなると、はっきり言って問題も起きやすい。閉鎖的な社会に留めておく。という洗脳的な考えはなくして、広く社会と接することを是とするお店が増えて欲しいですね。
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最後にホスホスをご覧の方へ向けて、メッセージをお願いします!
手塚マキ
ホストクラブが提供すべき価値は、楽しく飲んで日常とは違う時間を提供することであり、新しい価値観や生き方のヒントになるような人に出会える場だと思います。祇園などの花街では芸者さんが芸事を披露する場があることで、花街の価値を作っています。ホストクラブも同じように、芸事や【教養】をセットにした文化としての価値を提供することができるといいなと思います。最近では『スマッパ!グループ』のホストに日本舞踊を習わせたり、着物を着られるようにしたりすることで、より粋な男になって欲しいと思っています。毎月お披露目会をしようと企んでいます。新たな価値観を探すホストクラブ『スマッパ!グループ』に是非遊びに来てください!
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鳳 帝オーナー
平良翔太 取締役会長
夏稀 会長
蓮士 会長
桐生レイラ オーナー
天音 誠社長
くまの心 社長
拓真 社長
駿トータルプロデューサー
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一条ヒカル 会長
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一条ヒカル 会長
企画・制作/A→★ 最近は仕事終わりにコーラをがぶ飲みすることと 愛犬と遊ぶことにハマっています。 |